ニキビが一個できるだけで、とっても憂鬱な気分になってしまいますね。
ニキビは多くの方か悩んでいる皮膚トラブルの一つです。ニキビができる原因は、生理によるホルモンバランスの変化や、食生活の乱れやストレスなど多岐に渡ります。
そこでこの記事では、医師の目線でから、ニキビの原因に合わせた対処法をご紹介します。またニキビの時のお化粧の注意点について説明していきます。
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美容皮膚科「ゆかスキンクリニック」院長。 青木由佳 |
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医師。2004年神戸大学医学部卒業。日本皮膚科学会、日本美容外科学会に所属。大手美容クリニックで経験を積みクリニックを開院した美肌のスペシャリスト。 |
目次
一口にニキビといっても、白ニキビ(コメド)と赤ニキビがあり、それぞれで治療法も異なります。
ですが、白ニキビと赤ニキビの元は同じです。ニキビの経過をみたときに、白ニキビがさらに悪化したものが赤ニキビになります。
ニキビのできるメカニズムを詳しくご説明します。
ホルモンバランスの変化(生理前)やストレスなどで、男性ホルモンが増えると、皮脂分泌が亢進します。(※亢進とは機能が正常のよりも高まった状態のこと。)
皮脂分泌が亢進している状態は、思春期や生理前などをイメージしていただくと、わかりやすいかと思います。
皮脂がたくさん貯留すると、毛穴に対する化学的刺激を増加させたり、皮脂自体がニキビ菌のエサとなりニキビ菌の増殖を促してしまうことで、白ニキビや赤ニキビの原因となってしまうのです。
物理的な刺激や、皮脂による化学的刺激、男性ホルモン過剰などにより、毛穴の新陳代謝が悪くなることで毛穴がつまります。その結果できるのが、白ニキビの状態です。
かえってニキビを悪化させてしまうので、白ニキビの扱いは注意が必要です。
皮膚の常在菌の1つでもあるニキビ菌は嫌気性菌(※酸素がなくても増殖できる菌)であり、空気が嫌いで脂が好きという性質を持ちます。
ニキビ菌は皮脂分泌が亢進し、皮脂がたくさん貯留して詰まってしまった毛穴では増殖しやすく、炎症を起こして、赤いニキビとなります。
皮脂分泌の過剰はニキビの原因の1つなので、『しっかりと皮脂を洗浄すること』が大切です。
そのため、皮脂はしっかり取り除きつつ、その後もきちんと保湿するのが大事です。
また、洗顔の際に『しっかりと洗浄する』とお伝えすると、強くゴシゴシこすったり、長時間かけて洗顔する方がいらっしゃいますが、こういった洗顔がニキビに刺激を与え、逆に炎症が悪化する原因になります。
まず、メイクをクレンジングで落とす際には、摩擦を与えないように十分な量のクレンジングを手に取り、こすらないように優しくメイクとクレンジングを馴染ませ、ぬるま湯で洗い流しましょう。
詳しいクレンジングのやり方は、セラピストの方がクレンジング剤の選び方から詳しく説明している記事がございます。気になる方はあわせてご覧ください。
次に洗顔ですが、洗顔料は泡が汚れや皮脂を吸着してくれるので、洗顔料をしっかりと泡立てるのが大事です。皮脂が多いTゾーンや小鼻の周りから泡をのせて数秒おきましょう。
その後は保湿です。ニキビのあるお肌は肌のバリア機能が落ち、乾燥しやすくなっています。
脂っこいからといって、洗顔後何も塗らないのではなく、保湿もしましょう。皮脂分泌が多い方は化粧水のみでも構いません。乾燥しやすい部位は乳液なども重ねましょう。
ニキビやニキビ跡ができているお肌はとてもデリケートな状態です。紫外線の影響を受けやすいので、外に出る際は、日焼け止めなどを塗り日焼け対策してください。
なお、日焼け止めの選び方はこちらの記事で詳しくご紹介しています。
ニキビができると気になって触ってしまう方が多いですが、ニキビを触ると刺激で炎症が起き、より悪化してしまいます。極力触らないように気をつけましょう。
万が一、炎症がひどくなってしまった場合の対処法はこちらの記事をご参照ください。
白ニキビは毛穴が詰まることが原因なのでアダパレン(商品名:ディフェリン)と言われる毛穴の代謝をよくして詰まりを改善する塗り薬や、ケミカルピーリングが効果的です。
いっぽうで赤ニキビは、毛穴が詰まった状態に加え、アクネ菌の繁殖が炎症を起こしているため、アダパレンやケミカルピーリングの治療に加えて、抗生物質の塗り薬や過酸化ベンゾイルという殺菌作用を持った塗り薬も処方されることが多いです。
種類 | 状態 | 治療法 |
白ニキビ | 毛穴が詰まり、毛穴の中に皮脂が溜まった状態。 | 毛穴の詰まりを取るアダパレンやケミカルピーリング。 |
赤ニキビ | 毛穴が詰まり、ニキビ菌が繁殖して炎症を伴った状態。 |
毛穴の詰まりを取る、ニキビ菌を減らす。 毛穴の詰まりを取るアダパレンやケミカルピーリング+抗生物質の外用、過酸化ベンゾイルの外用。 |
食事や生活スタイルが乱れると、ホルモンバランスやお肌の新陳代謝が悪くなり、ニキビができやすくなります。
そのため、ニキビができるのを防ぐためには、食事、睡眠、ストレスの3点に気をつけることが大切です。
食事は、低糖質で栄養価の高いバランスのとれた食事を心がけましょう。
また、お肌の新陳代謝をよくしてくれるビタミンB群(特にB2とB6)やコラーゲンの元になるビタミンC・アミノ酸・鉄をしっかりととって丈夫で健康なお肌を作りましょう。
ビタミンBやコラーゲンを食べ物で補う具体的な方法はこちらの記事をご覧ください。
美容に便秘は大敵です。便秘があると体内にアンモニアなどの有害物質が溜まってしまい、ニキビや肌荒れの原因となります。
水分・食物繊維をしっかりととり、腸内環境を整えるために、ヨーグルトなどの乳製品や、発酵食品を積極的に取るのがおすすめです。
より詳しく知りたい方は、腸内環境を整え、便秘による肌荒れを防ぐための食事法を詳しくご紹介しているこちらの記事もご参照ください。
良質な睡眠をしっかりと、とりましょう。睡眠時間はとれていても、途中で起きてしまう。夢をたくさんみる、歯ぎしりをしていることがあると、良質な睡眠がとれていない場合があります。
良質な睡眠にはストレスケアが大事です。
適度なストレスは生きていく上に大事ですが、過度なストレスは自律神経をみだし、コルチゾールと呼ばれるホルモンや男性ホルモンを増やしたり、血行を悪くして、ニキビの原因になります。
実際には、避けられないストレスもあり、ストレスを減らすのは難しいですが、ストレス対策やストレス解消方法を身につけましょう。
ニキビを触ると、触った刺激による炎症でニキビが悪化する可能性があるので、化粧はしないほうが望ましいです。
ニキビがあるときは、ノンコメドジェニックの化粧品がおすすめです。コメドとは白ニキビのこと。
ジェニックは作るという意味です。つまり、ノンコメドジェニックとはコメドを作りにくい設計の化粧品のことです。
化粧品に使われる油性成分の中には、毛穴を塞ぎ、ニキビを出来やすくしてしまうものもあります。そのため、ニキビが出来やすい方は、ノンコメドジェニックの化粧品を選択しましょう。
ファンデーションにはクリーム・リキッド・パウダーがあり、含まれる油脂の量は「クリーム>リキッド>パウダー」となっています。
クリームやリキッドファンデの方が色を隠す作用は強いのですが、油脂のすくないパウダーファンデーションがニキビに負担をかけにくいのでオススメです。
ニキビの赤みが気になる場合は、緑色のコントロールカラーをうまく使って、ふんわり上からパウダーファンデーションをのせるのが良いでしょう。
ファンデーションの特徴や、ニキビを隠すための最適な色選びについても気になる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
ニキビを隠そうと厚塗りするとニキビ自体に触れる機会も増えてしまう上に、厚塗りした部分がどうしても目立ってしまいます。
そのため、ニキビから視線をそらすことを考えてアイメイクやリップメイクなど他のポイントを目立たせるメイクをすると良いでしょう。
なかなか治らないニキビを放置して悪化すると、ひどいニキビ跡になり精神的苦痛となることもあります。まずは、今回ご紹介した対策に取り組んでみてください。
セルフケアでもなかなか良くならない場合は、ニキビは保険適応もある皮膚の病気ですので、皮膚科を受診して適切な治療を受けてくださいね。