「ニキビの跡がなかなか消えない…。」「半年前に虫に刺された跡がまだ残っている。」
茶色いシミ(色素沈着)がなかなか消えなくお悩みの方も多いのではないでしょうか。このような、炎症の後に起きる色素沈着のことを炎症後色素沈着と言います。
そこでこの記事では炎症後色素沈着の対策をご紹介します。
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美容皮膚科「ゆかスキンクリニック」院長。 青木由佳 |
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医師。2004年神戸大学医学部卒業。日本皮膚科学会、日本美容外科学会に所属。大手美容クリニックで経験を積みクリニックを開院した美肌のスペシャリスト。 |
肌が炎症を起こすと、どんな状態になるのでしょうか。
炎症がひどいと、ヒリヒリしたり、赤くなったり、痒くなるのでわかりやすいですが、炎症が軽いと自分では気づかない場合もあります。
軽くても炎症があると、お肌はとてもデリケートな状態にあり、乾燥しやすかったり、ちょっとした刺激で炎症が悪化して、赤みやかゆみ・ヒリヒリが出るのです。
肌荒れが良くなったり悪くなったりを繰り返す人は、しっかりと炎症が収まりきっていない可能性があります。
色素沈着を起こすと、次のような状態になります。皆さんもこういった経験があるのではないでしょうか。
これらは肌の炎症後に起こる色素沈着なので、炎症後色素沈着と呼ばれます。
炎症後色素沈着は、ひどい炎症の後や、炎症弱くとも、慢性的な炎症が続くと起きるお肌の反応です。
炎症によりメラニンを作るメラノサイトが刺激され、茶色いシミ(色素沈着)ができます。
表皮の基底層にある細胞で、外部刺激(紫外線や摩擦など)や内部刺激(ホルモンバランスやストレス)でメラニンという茶色い色を出す特性がある。
炎症後色素沈着を起こす刺激は、体の外部からの刺激と、内部からの刺激の2パターンがあります。
炎症を起こしてしまったら、まずは炎症の原因を取り除くことが大切です。
例えば、新しく使った化粧品によるアレルギーが原因であれば、アレルギーの要素を取り除くことが必要ですし、日焼けなどの紫外線も炎症を起こします。
万が一、紫外線による日焼けをしてしまった場合の炎症を抑えるための正しい対処法はこちら!
炎症が起きてしまうとスキンケアだけでは肌の状態が落ち着かない場合があるので、炎症を抑えるステロイドの塗り薬を一時的に使います。
かゆみが強い時は、かゆみで引っ掻いてしまうのを抑えるたり、アレルギー反応を抑えるための抗アレルギー薬を使うことがあります。
炎症を起こす原因をまず特定し、取り除きましょう。
炎症を起こさないためには、スキンケアの際に肌に摩擦刺激を与えないようにしましょう。
日本人の女性はお化粧やスキンケアに対する意識が高く、お肌をよく触りがちです。触ることで逆にお肌の炎症を引き起こしているかもしれません。
日頃からのスキンケアやお化粧の際に、お肌に摩擦刺激が加わらないように、スキンケアでお肌に触る時間は極力短く、やさしく包み込むようにケアしてください。
肌の刺激を最小限にし、肌のバリア機能を高め、刺激に強い肌を作りましょう。
スキンケアの最初のステップであるクレンジングの正しいやり方をより理解したい方はこちらの記事もご確認ください。
炎症後色素沈着は基本的にお肌のターンオーバー(新陳代謝)で薄くなることが多いです。
ターンオーバーで炎症後色素沈着が薄くなるためにかかる期間は次のように言われています。
個人差もありますが、あまりにも長引くようであれば、皮膚科などの専門のクリニックに相談しましょう。
炎症後色素沈着を改善する飲み薬、塗り薬、またはレーザーなどで改善する場合があります。
また、お肌のターンオーバーをはじめて、シミやシワ、くすみなどが生じる原因はお肌の構造を知ることで詳しく理解できます。より詳しく理解したい方はこちらの記事もご参照ください。
炎症後色素沈着は、炎症が落ち着けば時間とともに薄くなります。
炎症の原因となるものがあれば取り除き、炎症後色素沈着が残った部分は極力触らないようにしましょう。