妊娠時に葉酸サプリメントを飲んだ方が良いと聞いたことがある方は多いはず。
しかし、「いつからいつまで飲めば良いかわからない。」「過剰摂取や飲み忘れで悪影響はないか。」など心配になることもあるでしょう。
そこで、子どもとママ専門の管理栄養士・淵江公美子さんにお話を伺いながら
をご紹介します。記事を読み終わるころには、葉酸サプリメントにまつわるすべての疑問がクリアになるでしょう。
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管理栄養士・淵江 公美子 |
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子どもとママ専門の管理栄養士。子どもの味覚を育てる離乳食、好き嫌いを克服できる幼児食、元気な赤ちゃんを産むための妊産婦食。著書:子供の好き嫌いを克服できる!躾けるレシピ: 現役の保育園栄養士が伝授!子供の好き嫌いへの対処法 お母さん、頑張りすぎないで! |
目次
葉酸とは、水溶性ビタミンB群の一つです。葉酸は赤血球の生産を助ける働きがあるため、造血ビタミンとも言われています。
また、細胞分裂や成熟に関わるため、胎児の発育には不可欠な栄養素です。DNAやRNAなどの核酸やたんぱく質の生合成を促進し、細胞の生産や再生にも関わっています。
葉酸は、胎児の脳や脊髄を作る源となります。
そのため、葉酸が不足すると、脳や脊髄を作る神経管に障害が起き、「神経管閉塞障害」といった先天異常が起こるリスクが高まります。
神経管の障害が頭側で起こった場合、「無脳症」となり、脳が形成不全となって流産や死産の可能性が高まります。
一方、お尻側で障害が起こると、生まれながらにして脊椎の形成不全がある「二分脊椎」となり、歩行障害、排泄障害といった機能障害が残ることもあります。
これらの先天異常の発症リスクを低減させるためには十分な葉酸の摂取が有効とされています。
葉酸には、ビタミンB12と同様に赤血球を生産する働きがあります。
よって、葉酸が不足すると、巨赤芽球貧血(悪性貧血)を起こす可能性が高まります。
症状としては一般的な鉄欠乏性貧血と同様に、だるさや動悸、息切れなどがあります。母体に貧血が起きると立ちくらみによって転倒してしまうこともあり、大変危険です。
また、葉酸の不足は、動脈硬化の引き金となるホモシステインの血清値を高くするとも言われています。
母体は、妊娠によって胎児に多くの葉酸を送るために葉酸不足になりやすいです。胎児だけではなく、母体のためにも葉酸の摂取は欠かせないのです。
日本人の食事摂取基準【注】(※1)には、「妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性及び妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉塞障害のリスク低減のために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸を400㎍/日摂取することが望まれる」と記載されています。
上記の食事摂取基準の記載事項における、「通常の食品以外の食品」に含まれる葉酸とは、プテロイルモノグルタミン酸のことです。
母子手帳にも、妊娠前から妊娠初期の葉酸摂取が重要であることが記載されています。
<実際の母子手帳>
日本の厚生労働省が、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的として制定したエネルギー及び各栄養素の摂取量の基準のこと。
葉酸は特に妊娠前(妊活)~妊娠初期【妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月頃まで】の摂取が大切であると言われています。
ここでは妊娠前(妊活)~妊娠初期に葉酸の摂取が必要な理由を解説します。
妊娠初期は胎児の細胞分裂が盛んで、神経管を形成する時期であるために葉酸の摂取が不可欠です。
この時期に十分な葉酸がないと無脳症や二分脊椎などといった神経管の先天異常リスクが高まります。そのため、リスク低減のためには妊娠前の妊活期から葉酸の摂取が必要となります。
通常の食事から240㎍+サプリメントなどから400㎍の葉酸を摂取しましょう。
一般女性の葉酸の推奨量は240㎍/日ですが、日本人の食事摂取基準では妊娠前(妊活)~妊娠初期には通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)を付加的に400㎍/日摂取することを推奨しています。
胎児が形成される妊娠前~妊娠初期に重要な役割を果たす葉酸。
妊娠中期から後期にかけての葉酸摂取は胎児のためだけではなく、母体のためにも重要な役割を果たします。
葉酸には赤血球を作る働きがあるため、葉酸の摂取は貧血の予防に有効です。
特に妊娠中期~後期にかけては、血液を通じてたくさんの酸素を母体から胎児に送る必要があります。そのため、血液を作る源となる鉄はもちろんのこと、赤血球を作る葉酸やビタミンB12も合わせて摂取すると良いでしょう。
鉄の摂取は鉄欠乏性貧血、葉酸やビタミンB12の摂取は巨赤芽球貧血(悪性貧血)の予防に役立ちます。それぞれ対象の貧血が異なるため、両方の栄養素を意識して摂取できると良いでしょう。
妊娠中期~妊娠後期に必要な葉酸の摂取量は480㎍/日です。
一般女性の葉酸の推奨量は240㎍/日ですが、日本人の食事摂取基準では妊娠中期~妊娠後期には付加的に+240㎍/日の葉酸を摂取することを推奨しています。
続いて、出産後(授乳中)に葉酸を摂取する理由を解説します。
赤ちゃんのためには、母乳を通じて葉酸を届ける目的で摂取します。また母体のためには産後の体力を回復させる目的で摂取します。
出産後(授乳中)に必要な葉酸の摂取量は340㎍/日です。
一般女性の葉酸の推奨量は240㎍/日ですが、日本人の食事摂取基準では授乳婦には付加的に+100㎍/日の葉酸を摂取することを推奨しています。
日本人の食事摂取基準では、葉酸の摂取量を下記のように示しています。
妊娠を計画している妊娠前(妊活)~出産後(授乳中)全てのステージで、付加的に葉酸を摂取することが必要です。
特に妊娠前(妊活)~妊娠初期には、+400㎍/日の葉酸を通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)を付加的に摂取すべきことが示されています。
妊娠前~授乳婦まで葉酸サプリメントの摂取が必要なことはわかりましたが、実際に出産を経験した先輩ママはいつからいつまで葉酸サプリメントを飲んでいたか、気になりますよね。
そこで、ここでは先輩ママの体験談をご紹介いたします。
葉酸は水溶性ビタミンで体内に蓄えることが出来ないため、毎日摂取する必要があります。
日本人の食事摂取基準によると、葉酸の耐用上限量【注】は強化食品やサプリメントから摂取する葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)の量で設定されており、食事から摂取する葉酸のみの耐用上限量はありません。
食事のみで葉酸の過剰症になることはまずあり得ないので、毎日葉酸を摂取することによる過剰症の心配はありません。
また、サプリメントから葉酸を摂取する場合でも、市販の葉酸サプリメントの多くは、厚生労働省が定める推奨量の400㎍の葉酸が1日で摂取できるように配合されています。
そのため、1日の規定量を守っていれば、毎日摂取して問題はありません。(ただし、妊娠中期以降は妊娠初期と比べて葉酸の付加量が減るので注意しましょう。)
【耐容上限量は、この値を超えて摂取した場合、過剰摂取による健康障害が発生するリスクがゼロではなくなることを示す値です。 したがって、この量にできるだけ近づかないよう注意する必要があります。】
葉酸には、食品に含まれる「ポリグルタミン酸型葉酸」と、サプリメントなどに含まれる「モノグルタミン酸型の葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」の二種類があります。
食品に含まれる「ポリグルタミン酸型の葉酸」は、体内でモノグルタミン酸型の葉酸に分解されないと吸収されずに体外へ排出されてしまいます。
一方、サプリメントに含まれる「モノグルタミン酸型の葉酸」は、分解することなく、そのまま体内に吸収することが出来るため、非常に吸収率が高いことで知られています。(ポリグルタミン酸型葉酸は、モノグルタミン酸型の葉酸と比べ、利用効率は約50%と報告されています。)
平成29年度国民健康栄養調査によると、日本人女性の1人1日当たりの葉酸平均摂取量は、20代が227㎍、30代が226㎍という結果でした。
さらに、妊娠を計画する女性は、通常食品から摂取する以外に400㎍/日の葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)の摂取が必要となるため、特に妊娠を考えている女性は普段と同じ食生活をしていては多くの方が葉酸不足に陥ると考えられます。
諸外国はというと、米国では小麦などの穀物に葉酸の添加が義務付けられており、穀物から葉酸を日常的に摂取しています。よって、穀物に葉酸が添加されていない日本の食事を食べる日本人女性は葉酸不足になりやすいと考えられます。
また、日本人は葉酸代謝遺伝子に異常をもっている人の確率が高く、体内で上手に葉酸を利用できる形に変換出来ない体質の方が多いという研究結果も出ているようです。(※2)
これらのことから、日本人女性は意識的に葉酸を摂取する必要があると言えます。
出来れば葉酸のサプリメントなどは毎日摂取するのが理想的ですが、つわりで飲みたくないときには無理に飲む必要はありません。
匂いが気になるのであれば、匂いが少ないサプリメントも販売されているので薬局などで相談してみるのも良いでしょう。
また、飲み忘れてしまったことを過剰に心配される方がたまにいらっしゃいますが、葉酸は普段の食事からも摂取出来るので、葉酸を全く摂取していないということはあり得ません。
ただし、なるべく継続して飲み続けられるように自分に合った葉酸サプリメントを選ぶことが大切です。
最後に葉酸を摂取する方法を具体的に解説していきます。
葉酸の含有量が多い食材には、以下のようなものがあります。
これらは食材100gあたりの葉酸含有量です。【日本食品標準成分表(※4)より引用】
葉酸は、ほうれんそう、いちご、納豆など身近な食品に含まれています。
納豆やいちごは、調理することなく簡単に食べることが出来るため、つわりなどで料理をするのが大変な時にはとても便利な食材です。
焼き海苔やきな粉にも葉酸が多く含まれています。
レバーは葉酸を多く含みますが、ビタミンAも豊富に含まれています。ビタミンAを過剰に摂取すると胎児の奇形発症率が高くなることが報告されているため、摂りすぎには注意が必要です。
葉酸は比較的色の濃い緑黄色野菜に多く含まれます。どんな食事を摂れば良いか迷った時には緑黄色野菜を使った料理を選ぶようにするのがおすすめです。
葉酸サプリメントの多くは厚生労働省が定める推奨量の400㎍の葉酸が1日で摂取できるように配合されています。
そのため、葉酸の含有量ではサプリメントの善し悪しに差がつきません。よって、以下の5つのチェック項目を参考に自分に合ったサプリメントを選ぶのがおすすめです。
葉酸以外の栄養素も一緒に摂取したい方は、配合成分に着目してサプリメントを選びましょう。
価格を抑えたい方は単発購入ではなく、定期購入をすることで割引が適用される場合もあります。
また、つわりの際には匂いや粒の大きさに敏感になりがちなので、選ぶポイントとしては飲みやすさも重要です。
ここではlentementと姉妹関係にある総合ダイエットメディアMYREVO編集部が、人気の葉酸サプリメントを実際に購入し、妊娠・妊活女子・管理栄養士の三者で検証・ランキング化し導き出したおすすめの3商品を紹介します。
配合栄養成分の量・種類ともにバランスが良く、妊活・妊娠中の悩みに寄り添った葉酸サプリメントとして堂々の一位を獲得した「ALOBABY葉酸サプリ」。匂いがないためつわり時にも飲みやすく、1日あたりの値段が100円代とリーズナブルな点が高評価につながりました。
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配合成分も豊富で妊活・妊娠に加え、美容面や貧血に悩む人に相性が良い「ベルタ葉酸サプリ」。医薬品レベルの品質が保証されるGMP認定工場で製造しているので、非常に安心して飲むことができるでしょう。半年以上の継続で1日あたりの価格が100円近くになるので、本格的な妊活に取り組む人に特におすすめです。
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採点項目や項目ごとの詳しい解説などは、こちらの記事を参考にしてみて下さい。↓
いかがでしたでしょうか。葉酸は、妊娠前(妊活)~出産後(授乳婦)まで、母体と胎児のために必要な栄養素です。
この記事が葉酸サプリメントをいつまで飲めば良いのかを判断するきっかけになれば幸いです。
〈参考文献〉
※2. 葉酸代謝関連遺伝子多型に基づくテーラーメイド栄養学~さかえど葉酸プロジェクト~