エクササイズに食事制限、頑張っているのになかなか痩せないと悩んでいる方。もしかしたら、太っていると感じるのは「むくみが原因」かもしれません。
むくみは食べ物や飲み物の工夫で解消をすることができます。 特に塩分を控えること、カリウムを豊富に摂取することがポイントです。
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管理栄養士 岩井里香 |
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管理栄養士。これまで病院や企業で数多くの食事・栄養指導を行う。現在もクリニックにて、患者さんへの栄養指導に従事。 |
目次
むくみとは、細胞と細胞の間の水分が増えすぎた状態をいいます。ではどのようなことが原因となるのでしょうか。
これは簡単にいうと重力の関係で水分が下に溜まってしまう状態です。
体内を流れる血液は、心臓のポンプの力で全身に循環しますが、リンパ管を流れるリンパ液はポンプの役割をしているものがありません。
そのため、筋肉を動かすことによって全身を循環しています。よって立ち仕事やデスクワークなどで長時間筋肉を動かさずにいるとむくみの原因となります。
ダイエットによるむくみが生じる原因は、タンパク質の不足です。血液中を流れるタンパク質の一種が、血液中の水分を保持するというむくみ予防する大事な働きをしています。
しかし、エネルギーや脂質を気にしすぎることで肉や魚の摂取が減り、タンパク質不足になると血液中の水分が血液の外に移動してしまい、むくんでしまうのです。
私たちの体には、一定の状態を保とうとする働きがあります。そのため、塩分を過剰に摂ったときには、その分尿量が増え、過剰な塩分を排出します。
しかし、排出が追いつかなくなったときには、水分を溜め込み血中の塩分濃度を薄めることで、一定の状態に保とうとする働きが生まれます。このときに血管内から漏れ出た水分がむくみとなるのです。
ではどのような対策が効果的なのでしょうか。
しかし日本人女性の平均食塩摂取量は9.2gと多すぎる傾向にあります。(平成26年度国立健康・栄養調査)特に外食やコンビニ食が多い方は注意が必要です。
外食やコンビニ食が多い方は特に食べ方を気をつけましょう。
醤油やソースを使う際には小皿にあけて、少量をつけるようにしましょう。かけるよりも量が少なくて済みます。
高塩分の食事としてトップクラスに挙がるのが麺類です。スープをすべて飲むと約1日分の塩分量に相当してしまいます。まずはスープを残すことを心がけましょう。
そうすることで塩分の摂取量は約半分まで減らすことができます。
さらに天ぷらなどは汁のなかにいれずに別皿に盛付け、食べるときに汁に少量つけるようにしましょう。
スープ類のなかでも味噌汁は特に塩分が高い傾向にあります。
なかでも家庭で作った味噌汁に比べてインスタント味噌汁ではさらに高塩分となるため、1日1回程度に控えるのが好ましいでしょう。
塩分を控えると言ってもコンビニや外食を避けられない方もいますよね。
そこでカリウム摂取です。
不足しないよう摂りたいたんぱく質食品ですが、食べすぎるとカロリーオーバーになる可能性もあるので、野菜や海藻・きのこ類をたっぷり摂りつつ、他もバランスよくとりいれましょう。
ひきわり納豆、アジ、さわら、かつお、鶏ささみ、豚ヒレ肉
トマト、ほうれん草、モロヘイヤ、かぼちゃ、水菜
アボカド、キウイフルーツ、バナナ、メロン、さくらんぼ
エリンギ、しめじ、えのきたけ、まいたけ、マッシュルーム
大和芋、里芋、さつまいも、長芋
カリウムは飲料でも摂ることができるため、食事で毎日の摂取ができないという方はカリウムの豊富な飲料を意識してみましょう。
むくみ解消のために、次の飲み物をランチのお供にプラスするが手軽でおすすめです。
パイナップル、オレンジ、グレープフルーツ※フルーツジュースは果汁100%のものを選びましょう。
玉露、昆布茶、コーヒー、野菜ジュース、トマトジュース、豆乳、ココア、青汁
ついつい高塩分なものを食べがちな飲み会の席では赤ワインがおすすめです。
また赤ワインにはポリフェノールが含まれ抗酸化作用による若返り効果も期待できます。ただし飲み過ぎには気をつけましょう。
小腹が減ったときの間食にはドライフルーツ、ナッツ、干し芋がおすすめです。
これらはカリウムだけでなく、食物繊維や鉄分摂取もできるため女性にはぴったりですね。
干し柿、レーズン、プルーン
ピスタチオ、落花生、ピーナッツ、アーモンド、松の実、カシューナッツ
<お菓子でカリウムは摂れるの?>
結論からいうとカリウムは摂れるものもありますが、おすすめしません。なぜならカリウム量以上に脂肪や砂糖が多くハイカロリーであったり、高塩分であるからです。
むくみ解消には、塩分を控え、カリウムを豊富に摂ることのできる食事が大切です。
出汁を効かせることで、旨味が増し、少ない調味料でもおいしく食べられます。
出汁をとるのが難しい方は出汁パックや顆粒だしを利用するのもよいでしょう。顆粒出汁には食塩が添加されているもの、食塩無添加のものとあるため、無添加のものを選びましょう。
だしといえば鰹節や昆布、煮干しが一般的ですが、トマトや野菜の皮からも美味しい出汁がとれるので、試してみてはいかがでしょうか。
大葉、みょうが、生姜、にんにく、パセリなどの香味野菜を使うと、少ない調味料でもアクセントのある味つけができます。カレー粉やクミンなどのスパイスもよいでしょう。
これらをうまく利用できると、減塩ができるだけでなく、流行りのエスニック料理や、季節感を感じられる料理が自宅で楽しめます。
最も手軽な方法は減塩調味料を利用する方法です。約50%の塩分がカットできます。
しかし、減塩調味料だからといって沢山使っては意味がありません。普段と調味料の量は変えずに、減塩調味料に置き換えるようにしましょう。
減塩だからといって味気ない食事では残念ですよね。そこでおすすめするのはメインとなる主菜のみしっかりと味付けし、他の副菜は薄味にすることです。
人間の脳では1品に味がしっかりついていれば他が薄味でも満足しやすいことがわかっています。
乳和食とは、和食に牛乳を混ぜることで、減塩につながるという方法です。和食と牛乳、意外な組み合わせですよね。
牛乳を少量加えることで、コクが生まれ、調味料を少なくしても美味しく仕上げることができるのです。
たとえば味噌汁や肉じゃがなどでも実践できます。ヘルシーといわれる反面、塩分が多いのが弱点の和食、ぜひこの方法を試してみてはいかがでしょうか。
カリウムが豊富に摂れる食事をするためのポイントは、カリウムの「水に溶けやすい」という性質です。
野菜を細かく切るほど、水に触れる断面の面積が増え、カリウムが流れ出てしまいます。野菜はなるべく洗ってから切るようにしましょう。
切ってから洗う場合には断面の表面積が大きくならないように、大きめのカットがよいでしょう。
アク抜きやしゃきっとした食感を出すために、野菜を水にさらすことがありますよね。これも長時間の浸水はカリウムが流れ出てしまいます。
レタスなど葉物野菜を浸水させる際は細かく切らない状態で、アク抜きのための浸水もなるべく短時間で済ませるとよいでしょう。
茹でる調理法は野菜のカサを減らすことができ、効率よく野菜摂取ができます。しかしそれによりカリウムは半分近く溶け出してしまうため勿体ない方法でもあるのです。
そこで、水を使わない炒め物や揚げ物であればカリウムを損失せずに済みます。カロリーを控えたい場合には、生か蒸し調理や電子レンジ調理が良いでしょう。
またスープであれば溶け出したカリウムごと取り込めるので、こちらもおすすめです。茹でる際には短時間でサッと済ませるのがよいでしょう。
この章では、ここまでご紹介したカリウムが豊富に含まれる食べ物を一覧にまとめます。
<むくみ解消に効く食べ物一覧>
たんぱく質食品 | ひきわり納豆、アジ、さわら、かつお、鶏ささみ、豚ヒレ肉 |
野菜 | トマト、ほうれん草、モロヘイヤ、かぼちゃ、水菜 |
果物 | アボカド、キウイフルーツ、バナナ、メロン、さくらんぼ |
きのこ類 | エリンギ、しめじ、えのきたけ、まいたけ、マッシュルーム |
芋類 | 大和芋、里芋、さつまいも、長芋 |
ジュース類 |
パイナップル、オレンジ、グレープフルーツ※フルーツジュースは果汁100%のものを選びましょう。
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その他の飲料 |
玉露、昆布茶、コーヒー、野菜ジュース、トマトジュース、豆乳、ココア、青汁
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ドライフルーツ | 干し柿、レーズン、プルーン |
ナッツ |
ピスタチオ、落花生、ピーナッツ、アーモンド、松の実、カシューナッツ
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体を作るもととして、重要なたんぱく質はダイエット中でも抜いてはいけません。たんぱく質は女性で1日50g程度が目安です。
しかし糖質制限をしている方は、糖質の代わりにたんぱく質がエネルギーとして消費されるために、さらに多くのたんぱく質が必要になります。
しかしたんぱく質を意識するからといってバラ肉やベーコンばかりでは脂質の摂りすぎです。お肉はなるべく脂質の少ないヒレ肉やささみ、もも肉、胸肉を選びましょう。
また、肉類に偏ることなく、魚や大豆製品、卵もローテーションで取り入れられると理想的です。
デスクワークなどが原因で生じるむくみを解決する上では日常的な運動が大切です。休日にスポーツジムに通うのもよいですが、自然に日常に取り入れられる運動をこころがけましょう。
むくみに悩んでいる方は特に女性に多くいらっしゃいます。下半身がむくむことで足の疲労感が増したり、露出が増える夏場は特に外見から気になってしまいますよね。
下半身だけでなく顔のむくみも女性にとっては大敵。せっかくメイクをしても顔がむくんでいたら台無しです。
少しの意識を生活に取り入れるだけで、むくみも悩みもすっきり解決するかもしれません。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。