「森のバター」「食べる美容液」と呼ばれるアボカドは、最も栄養価の優れた果物として、世界ギネスにも認定されていいます。
特に女性には嬉しい美容に欠かせない成分がたっぷりとはいっているのです。
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管理栄養士 岩井里香 |
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管理栄養士。これまで病院や企業で数多くの食事・栄養指導を行う。現在もクリニックにて、患者さんへの栄養指導に従事。 |
目次
アボカドには1個(可食部140g)あたり26gと脂質が豊富に含まれています。
悪いイメージの脂質ですが、肌のセラミドを作り、乾燥や外部の刺激から肌を守るために美肌には欠かせない栄養素なのです。
飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールを減らす働きがあるといわれています。
アボカドに多く含まれている油は不飽和脂肪酸のなかでも健康によいとされているオレイン酸です。オレイン酸は肌の皮脂を構成している成分で最も多くを占めています。
アボガドに含まれるオレイン酸は、腸の蠕動運動を促進することで便秘改善効果や、満腹中枢に働くことでダイエット効果も期待できるのです。
さらにアボカドには人の体内で作れず食事からの摂取が必要であるリノール酸、リノレン酸も豊富に含まれています。
また脂質には、抗酸化ビタミンの一種であるビタミンA、Eの吸収を高める効果もあります。
アボカド1個で7.4gもの食物繊維が含まれています。これはごぼう約1本分に相当します。
そのため腸内環境を整え、便秘による肌荒れを防止することができます。
また、食物繊維には脂質の吸収を抑えたり、血糖の上昇を緩やかにする効果もあるため、ダイエット中も上手に取り入れたい食品の一つなのです。
アボガドには美容ビタミンと呼ばれる「ビタミンB2」が豊富に含まれています。
通常果物にはそれほど含まれないビタミンB2ですが、アボカドには豊富に含まれています。
ビタミンB2には、3つの効果があり、美肌には欠かせないビタミンです。
アボカドは脂質が多い食品ですが、豊富に含まれるビタミンB2が脂質の燃焼を助けることで効率よく代謝することができるのです。
アボガドに含まれるビタミンB6は、ハリや艶のある肌をもたらしてくれる栄養素です。
ビタミンB6は、タンパク質を肌や髪に栄養として供給する際に必要なビタミンです。そのため、肌の新陳代謝を活発にする効果があります。ハリや艶のある肌に生まれ変わるには必要不可欠なのです。
ビタミンB6は主に魚や肉などタンパク質食品に豊富に含まれますが、通常果物からは摂取しにくいビタミンです。しかしアボカドは1個食べると1日のビタミンB6推奨量の半分近くを摂取することができ、果物のなかではトップクラスといえます。
抗酸化作用が強く、抗酸化ビタミンと言われるのがビタミンACEです。
アボカドには、体内でビタミンAとなるカロテン、ビタミンC、ビタミンEのすべてが含まれているのです。
なかでも豊富に含まれるのが、ビタミンE。アボカド1個あたり約4.8gものビタミンEが含まれ、アーモンド15粒に相当します。
ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、老化の原因となる過酸化脂質の生成を抑えてくれ、血行をよくする効果があります。そうすることで、クマやくすみ、しみ、肌荒れの予防・改善効果につながります。
また、ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることで、相乗効果が生まれ、抗酸化作用がより強くなります。
アボカド自体にもビタミンCが含まれますが、ビタミンCの豊富な食品と組み合わせて食べるのもおすすめです。たとえば、アボカドにレモンを絞る、パプリカとアボカドのサラダなどはいかがでしょうか。
カリウムは高血圧など生活習慣病予防の観点から、女性では2600㎎/日以上を目標量として定められています。
アボカドに含まれるカリウム量は1個で約1000㎎。カリウムの豊富な果物類や野菜と比べても特に豊富に含まれているのです。
栄養価に優れているからといって沢山食べればよいというものではありません。
なぜなら摂りすぎは肥満の原因になるからです。アボカド1個あたり約260Kcalとエネルギーが高く、これは女性茶碗1膳のごはんに相当します。
食べる目安は1日半個程度とし、ダイエット中の方はその分主食を減らすなど調整できるとよいでしょう。
食べる目安を1日半個とすると、残りは翌日に保存することになります。
しかし、翌日にとっておいたら茶色く変色してしまった、という経験はありませんか。
変色の原因はアボカドに含まれる酵素が酸素と触れ合うことで酸化を起こし、メラニン色素が生成されるためです。
アボカドの変色を防ぐには次の方法が有効です。
アボガドはスーパーでは通年並びますが、4月〜6月頃が油が多くクリーミーで美味しいといわれています。
スーパーに並ぶアボカドは色も固さも様々ですよね。食べ頃を誤ると、固すぎたり熟しすぎていたりと美味しく食べることができません。
そこで美味しく食べるために知っておきたい、食べ頃の見極め方のポイントは以下の3点です。
黒みがかった濃い緑色のものが食べ頃です。
緑色のものは追熟が必要です。すぐに食べない場合には緑色のものを選ぶとよいでしょう。黒みが強いものは熟しすぎている可能性もあるため注意しましょう。
軽く握ったときに適度な弾力があるものを選びましょう。このときに柔らかすぎるものは避け、固すぎるものは追熟が必要です。
頭皮くらいの固さが目安です。
ヘタの周りを軽く押したときに少しへこむものが食べ頃です。このときに柔らかすぎるものは熟しすぎているので避けましょう。
ヘタが取れている場合には、取れた部分の色が緑色のものがよいでしょう。カビていたり、黒くなっているものは傷んでいます。
いかがでしたでしょうか。
このように手軽に食べられるのも魅力の一つです。
特に火を使わずに手軽に、かつ栄養をしっかりと摂りたい夏場にはおすすめの食品です。皆さんもスーパーで見かけた際は手にとってみてはいかがでしょうか。