仕事終わりの一杯、夫婦で晩酌、週末の女子会。日頃のストレス解消やリラックスしたいとき、楽しいイベントをより盛り上げるために、お酒は欠かせないという方も多いですよね。
しかしお酒を飲みすぎた翌日は、なんだか化粧ノリが悪い、肌の調子がイマイチと感じたことはありませんか。実は飲酒は肌荒れをはじめ、ニキビなどの肌トラブルの原因となってしまうのです。
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管理栄養士 岩井里香 |
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管理栄養士。これまで病院や企業で数多くの食事・栄養指導を行う。現在もクリニックにて、患者さんへの栄養指導に従事。 |
目次
肌のターンオーバーを高める上で重要な栄養素がビタミンBです。
なかでもビタミンB1は炭水化物を代謝する際にも不可欠です。お酒を飲むと、お酒は肝臓で分解され、最終的に尿や呼気から排泄されますが、その過程でビタミンB1が使われるのです。
そのため、アルコールを多飲することでビタミンB1が大量に使われてしまい、肌や炭水化物の代謝に使われる分が足りなくなってしまいます。
すると肌荒れを起こしたり、炭水化物をエネルギーとして使うことができずに体脂肪にかわり、太る原因になってしまします。
肌とビタミンB1の関係はこちらの記事でもまとめています。
普段は食べすぎないように気をつけられていても、酔ってしまうと理性がはたらかず、ついつい食べすぎてしまうという方も多いのではないでしょうか。
そもそもアルコールには食欲贈進効果があるため、普段の量よりも多く食べてしまいやすいのです。
また、お酒のおつまみには揚げ物が多かったり、女子会のしめにはスイーツを食べたり、脂質の摂取が多くなりがちです。
なかでも質の悪い油を摂ることで、体内での活性酸素が増え、老化の原因にもつながるのです。
ニキビや吹き出物の原因が気になる方はこちらの記事もおすすめです。
お酒を飲んで何度もトイレに行きたくなった経験は誰しもがありますよね。
これはアルコールに利尿作用があるためです。そのため水をとらずにお酒ばかり進んでしまうと脱水になってしまいます。
お酒を飲みすぎた翌日に二日酔いで頭が痛くなるのも脱水が原因の一つですが、脱水は肌にも悪影響があります。水分不足は肌を乾燥させ、シワにつながるからです。
アルコールは肝臓で分解されます。肝臓は解毒作用やさまざまなホルモンや栄養素の代謝に関わり、生きる上で欠かせない役割がたくさんあります。
またアルコールの多飲は肝臓だけでなく胃や膵臓や小腸など、他の臓器にも負担を与えてしまいます。
これらの働きが衰えることで、栄養素を体の細胞に送り届ける効率が悪くなったり、病気や老化のもとになる悪い毒素を排泄しにくくなったりします。
お酒を飲む頻度や量に注意し、空腹の状態でお酒を飲まないなど、内臓に負担をかけないよう心がけましょう。
米国国立衛生研究所(NIH)の研究によると、アルコールの摂りすぎは腸内で毒性の強い細菌が増え、腸内フローラを悪化させる可能性があるとされています。
腸内環境の悪化は体の免疫力が下がったり、体に必要なビタミンの合成ができなくなったり、便秘の原因になったりと、肌にとって大敵です。
糖化とは体の中の余分な糖分がたんぱく質と結びつくことで、肌のしわやくすみ、白髪など老化の原因となり、体の焦げともいわれています。
アルコールは肝臓で分解される過程でアセトアルデヒトという物質に変わります。それがたんぱく質と結びつくことで糖化が起こることが最近の研究からわかってきました。
一般的に糖化は、甘いものや揚げ物をよく食べる方や炭水化物に偏った食事をする方に多く見られますが、そのような食生活をしていなくてもお酒の飲み過ぎで知らないうちに糖化を引き起こしている可能性があるのです。
またリラックス効果やストレス解消や人間関係をうまく築く上でも大事な役割がありますよね。そこでお酒とうまく付き合うためにいくつかのポイントを押さえましょう。
なお、糖化についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
お酒の適量とは個人差がありますが、一般的に女性では※純アルコール量で1日20gとされています。
純アルコール量(g)=お酒の量(mL) × 度数または% / 100 × 比重0.8
しかし毎回純アルコール量を計算するのは大変なので、お酒の種類ごとにだいたいの目安の量を覚えておきましょう。
種類 | アルコール度数 | 目安量 |
ビール | アルコール度数5度前後 | 中びん1本(500ml) |
日本酒 | アルコール度数15度前後 | 1合(180ml) |
焼酎 | アルコール度数25度前後 | 0.6合(約110ml) |
ウイスキー | アルコール度数40度前後 | シングル2杯(60ml) |
ワイン | アルコール度数15度前後 | 1/4本(約180ml) |
缶チューハイ | アルコール度数5度前後 | 1.5缶(約520ml) |
ビール500mlを飲んだ時にアルコールが分解されるまでにかかる時間は女性で約3時間です。
仮にビール500ml缶を4本飲むと分解されるまでに約12時間かかり、体の中ではアルコールを分解するのに半日をかけて肝臓を働かせていることになります。
さらに年齢を重ねるごとにアルコールの分解にかかる時間は長くなるともいわれています。
毎日の飲酒が日課になっている方は注意が必要です。まずは週に2、3回の休肝日を設けるようにしましょう。
アルコールには利尿作用があるため、飲酒は脱水を引き起こしやすいのです。
そうすることで脱水を防ぎ、二日酔いや翌日の肌の乾燥を予防できます。またお酒の飲み過ぎも防ぎやすくなります。
前述でもあるとおり、空腹状態での飲酒は内臓への負担が大きく望ましくありません。
一方で好きなものを好きなだけ食べてしまっては逆効果です。そこでおつまみを選ぶためのポイントをいくつか押さえましょう。
アルコールを分解させるのに働く肝臓にとってたんぱく質は欠かせません。良質なたんぱく質は肉や魚・卵・大豆製品・乳製品などから摂ることができます。
唐揚げなど高カロリーなものはなるべく避け、低脂質・高たんぱくを心がけましょう。また乾杯前に牛乳を1杯飲むことで胃への負担を和らげることができます。
冷奴、だし巻き卵、お刺身、カルパッチョ、焼き鳥
ビタミンB1は肌のターンオーバーに重要な栄養素ですが、アルコールを分解する際に消費されてしまいます。
そのため飲酒時はより意識して摂取しましょう。
また忘年会や新年会、送別会、歓迎会など飲み会が増える時期には普段の食事で白米から玄米に変えることで日常的なビタミンB1の摂取量を増やすことができます。
枝豆、レバニラ炒め、冷奴、生ハム、落花生
アルコールの分解で消費されやすいビタミンやミネラルを補うために野菜・きのこ・海藻類を積極的に選びましょう。
それらに含まれる食物繊維には脂質の吸収を抑える効果があり、生野菜や海藻に多く含まれるカリウムには無駄な塩分を排出する効果があります。
そのため油や塩分が多くなりがちなおつまみに是非意識して取り入れたいものです。
さらに意識したいのが野菜の種類です。
レタスやきゅうり中心のサラダではビタミンは不十分です。さらにたっぷりとドレッシングがかかっていれば高脂質高カロリーです。
そこで、なるべく緑黄色野菜の豊富な彩豊かなサラダを選びましょう。ドレッシングを選べる場合はノンオイルが好ましいです。
スライストマト、海藻サラダ、ほうれん草の胡麻和え、野菜のピクルス、なすの煮びたし、バーニャカウダ、ナッツ、ドライフルーツ
飲み会の終盤、満腹でも食べてしまうのがスイーツですよね。しかし砂糖や脂質が多いスイーツは美肌にとって望ましくありません。
そこでおすすめなのが果物です。果物に含まれる果糖にはアルコールの分解を助ける効果があります。
お酒を飲むと不思議と食べたくなるラーメン。しかしラーメンには炭水化物、脂質、塩分が多く、翌日の肌荒れ、むくみ、胃もたれの原因になるので控えましょう。
締めになにか食べたいというときは、おにぎりやお茶漬けなど脂質が少なく消化によく満足感のあるごはんがおすすめです。
いかがでしたでしょうか。飲酒は肌荒れの原因になるので、肌にやさしいお酒の楽しみ方を覚えてくださいね。おつまみの工夫とお酒の適量を守ることで、美肌を保ちつつお酒を楽しむことができますよ。
この記事でご紹介した内容を皆さんもぜひ試してみてくださいね!