女性なら、肌荒れ・にきび・クマ・シワ・乾燥など、肌トラブルに悩んだ事は誰しもがありますよね。
こういったさまざまな肌トラブルは、肌のターンオーバー機能が低下して起こることが多いのです。高級な化粧品やサプリメントに試す前に、まずは日頃の食事を見直してみてはいかがでしょうか。
そこで今回は、肌のターンオーバーに密に関係するビタミンB群についてご紹介します。
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管理栄養士 岩井里香 |
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管理栄養士。これまで病院や企業で数多くの食事・栄養指導を行う。現在もクリニックにて、患者さんへの栄養指導に従事。 |
目次
私たちは食事で摂取した糖質、たんぱく質、脂質を酵素の力で分解し、エネルギーに変えます。その酵素の手助けをするのがビタミンB群です。ビタミンB群が不足することで肌のターンオーバーの機能が低下し、肌トラブルの原因となり得るのです。
そもそも、肌のターンオーバー機能とは、肌の細胞が垢になり肌から剥がれ落ちていくまでの一連の周期のこと。1周期に28日〜40日ほどかかると言われています。肌のターンオーバーの周期が崩れると、肌にくすみが出たり、肌がゴワゴワしてしまいます。
そのため、ビタミンB群を摂取し、肌のターンオーバー機能を正常に保つことは、美肌を作る上で大切です。
ターンオーバーについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
ビタミンB群は群という言葉が付いていることからもわかるように、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類に分かれています。
皆さんもよくご存知のチョコラBBやアリナミン等様々なドリンク剤や錠剤がありますが、これらの基本はビタミンB1です。日ごろの食事で摂りにくい場合にはこのような製品を利用するのも1つの方法です。
しかし、毎日の食事を少し工夫するだけでもビタミンB群を効率的に摂取することができます。
そこで今回は、ビタミンB群のなかでも不足しやすいビタミンB1、B2、B6のそれぞれの特徴と摂取のポイントについてご紹介します。
ビタミンB1の主な働きは、糖質をエネルギーに変えることです。
ビタミンB1は糖質代謝に必要な補酵素として働きます。摂取したご飯やパンなどの糖質は、ビタミンB1の助けによってエネルギーに変えられます。またその過程で疲労物質の処理にも関わっています。
ビタミンB1が不足することで糖質をうまくエネルギーに変えられず、疲れやすさの原因になります。
エネルギーに変えられなかった糖質はそのまま排泄されるのではなく、体に体脂肪として蓄えられるため肥満の原因につながります。
玄米、ライ麦パン、ぶた肉、うなぎ、カツオ、スイートコーン
ビタミンB1はエネルギーの代謝に働くため、摂るべき量は摂取エネルギーに比例します。
具体的には1000キロカロリー当たり0.54ミリグラムを推奨量として算定されています。18歳から29歳の男性では1日に1.4ミリグラム、女性では1.1ミリグラムが推奨量です。
玄米ごはんを1日3膳(1膳150g)摂った場合、ビタミンB1は約0.7mg。女子が1日に推奨されている量の約6割を摂取できます。
ビタミンB1は余計に摂ると尿として排泄されますか、ニンニクや玉ねぎ、ニラなどに含まれるアリシンと一緒にとることで、長い時間体にとどめておくことができます。
豚肉の生姜焼きに玉ねぎを入れることは、栄養素の面でも理にかなっているのです。
イタリアンではミートソーススパゲティがおすすめ!
例えば女性のランチに人気のイタリアン。パスタは糖質が多いため特にビタミンB1を意識して摂りたいところです。そこで豚肉と玉ねぎを使ったミートソーススパゲティを選びましょう。全粒粉麺を選べるお店であれば全粒粉を選ぶことでさらに効率的にビタミンB1の摂取が期待できます。
白米を玄米や胚芽米に替えてみよう!
ビタミンB1は胚芽、豆類、肉類に多く含まれています。精白米にはB1がごく少量しか入っていないため、白米の摂取が多い場合は不足しがちになります。普段の主食を玄米や胚芽米に替えることでビタミンB1の補給ができますよ。また白米ビタミンB1を添加した強化米も市販されておりこれを混ぜることで摂取することも可能です。
炭水化物や砂糖の多いスイーツの食べすぎは肌荒れにつながります。
理由は糖質の代謝にビタミンB1が使われ、肌を整えるのに必要な分が不足してしまうからです。またお酒のアルコールの代謝にもビタミンB1が使われるため多量の飲酒は肌荒れの原因になります。
なかでも糖質の多いカクテルやビール、日本酒はビタミンB1の消費が激しいと考えられます。アルコール度数の高いお酒も同様です。お酒を飲むときはアルコール度数や糖質量にも配慮して選びましょう。
また、女性はスイーツ好きな方も多いですよね。スイーツを食べた後はサプリメントでビタミンB1を補うと言うのも手軽な方法です。
肌のシワやくすみを引き起こす糖化の原因と、糖化を防ぐための対策について知りたい方にはこちらの記事もおすすめです。
夏場は汗としてビタミンB1が排出されやすくなります。またスポーツドリンク等で糖質の摂取が増えがちです。
食事は食べやすい麺類に偏る等、糖質量が多くなる場合にはビタミンB1の必要量が増えるため注意しましょう。
ビタミンB2は糖質、脂質、タンパク質の代謝の補酵素として使われます。とくに脂肪を燃焼するときによく使われるため、油を多く摂取する際には積極的に摂りましょう。
タンパク質の合成に関わり皮膚や髪の毛などの細胞の生まれ変わりを助けています。美容に深く関係するため美容ビタミンまたは発育のビタミンとも呼ばれています。
過酸化脂質とは体内のコレステロールや中性脂肪が活性酸素によって酸化されたものをいいます。過酸化脂質は動脈硬化や老化の原因とされており、「身体のサビ」とも言われます。
抗酸化ビタミンとして有名なビタミンEは、過酸化脂質が作られるのを抑えるのに対し、ビタミンB2は作られた過酸化脂質の分解を促します。
ビタミンB2が不足し、肌のターンオーバーが低下することで、肌荒れや髪のトラブルが起こります。またニキビや皮膚炎の原因にもなります。
脂質の代謝と関わりが深いため、不足することで、体内で脂肪が燃焼しにくくなります。ダイエット中は特に意識して摂取しましょう。
なお、ニキビや吹き出物のできる原因についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
乳製品や卵、ピーナツ、緑黄色野菜、レバー、きのこ、納豆。
また、ビタミンB2 は腸内細菌によって体の中でも作られるため腸内環境整えることも重要です。
ビタミンB2はエネルギーの代謝に働くビタミンのため、摂取エネルギーに比例します。具体的には1000キロカロリー当たり0.6ミリグラムを推奨量として算定されています。
18歳から29歳の男性では1日に1.6ミリグラム女性では1.2ミリグラムが推奨量です。
ランチやディナーをコンビニの菓子パンやカップ麺で済ませてしまう、ダイエット目的でサラダだけで済ませてしまうと言う方も多いですが、それではビタミンB2は不足しがちです。
基本はたんぱく質と野菜の食事を心がけること。例えば、サラダにゆで卵とヨーグルトをプラスすることでビタミンB2の摂取に加えて、腸内環境を整えることにもつながります。
油物の食べすぎは肌荒れにつながります。
理由は脂質の代謝にビタミンB2が使われ、肌を整えるのに必要な分が不足してしまうからです。油ものを摂取した翌日は、納豆やキノコ類を積極的に摂ることで油を控えつつ、ビタミンB2の摂取ができます。
油物の取りすぎをはじめ、肌荒れを起こしやすい食生活についてこちらの記事でまとめています。気になる方は合わせてご覧ください。
ビタミンは油に溶ける脂溶性ビタミンと水に溶ける水溶性ビタミンの2種類に分かれています。
水溶性ビタミンは摂りすぎても尿として排泄され過剰性の症状が現れる事は少ないと言われています。ビタミンB2もその一つです。しかし長い時間体の中にとどまっていられないため、こまめに摂取することが大切です。
食事での摂取が難しい場合や、旅行やイベントごとで食べ過ぎてしまう場合など、必要に応じてサプリメントを利用することで、肌荒れの防止に役立ちます。
しかし、一度にたくさんのビタミンをとっても全てを吸収できるわけではありません。ビタミンB2は1度に27ミリグラムが最大の吸収量と言われています。
27ミリグラムを納豆に換算すると約100パック分(1パック50g)もの量となります。そのため食事からの摂取で最大の吸収量まで到達する恐れはありません。サプリメントで摂取するときのみ注意が必要です。
そのためサプリメントは、栄養成分表示や説明書きを読み、容量を守った上で、有効に役立てましょう。
ビタミンB 6は、食事で摂取したタンパク質を身体のタンパク質に作り替えるときにサポートする役割があります。またタンパク質からエネルギーを作るときにも必要です。
ビタミンB6は皮膚の保護効果があります。また、皮膚を守る効果以外にもホルモン作用の調整や脂質の代謝免疫機能の維持など様々な分野に関わっています。
ビタミンB6の不足が、皮膚炎の原因になることがあります。
タンパク質の代謝に関わるため、タンパク質の摂取量が増えるとビタミンB 6の必要量が増えますが、タンパク質の多い食品にはビタミンB6も多く含まれる傾向にあるため、通常の食事では特別意識する必要はありません。
しかし最近では、筋肉の増量を目指してプロテインを摂取している方も増えてきています。せっかくプロテインをとってもビタミンB 6が不足していては効率よく筋肉の増量をさせることができません。
プロテインにビタミンB 6が添加されているものも多く販売されていますのでそれらを確認した上で選ぶと良いでしょう。
ビタミンB6が添加されていないプロテインの場合には、食事から摂ることを意識しましょう。皮膚の炎症について詳しく知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
肉類、魚類、レバーなどタンパク質の多い食品や、ブロッコリーやアボカド、パプリカなど野菜にも広く含まれています。
ビタミンB群は腸内細菌によって作られる種類も多く、また動物性食品に含有量が多い傾向にあります。日頃から腸内環境整えることが大切です。
また、インスタント食品では不足しがちな動物性タンパク質を十分にとることを心がけることも大切です。食事を見直し、肌のターンオーバーを高め、美肌を目指しましょう。