肌荒れを引き起こす原因の1つに食生活の乱れがあります。
肌荒れを治すために油物や糖質を控えるなど、食生活に気を使ってみるものの、なかなか良くならない、そんな悩みを抱えている方も多くいらっしゃいますよね。
食生活は長年の習慣のため、乱れていることに気づきにくいものです。そこでこの記事では、肌荒れを起こしやすい食生活と、それを改善するための方法をお伝えしていきます。
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管理栄養士 岩井里香 |
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管理栄養士。これまで病院や企業で数多くの食事・栄養指導を行う。現在もクリニックにて、患者さんへの栄養指導に従事。 |
目次
どの食品をとるのかはもちろん大切ですが、肌荒れを食生活で改善しようとする際にまず見直すべきは食事のタイミングです。
例えば次のAさん、Bさん、Cさんの食生活の例を見てみましょう。この3名と似たような食生活をしている方は要注意です。
バリバリのキャリアウーマンで、深夜まで残業。仕事終わりにはご飯を作る気力がなく、コンビニでカップ麺やお弁当を買ってすませる。翌朝も朝食をとる余裕がなく出勤。
毎週恒例の女子会。チーズや肉料理を楽しみながらワインを堪能。しめのスイーツは鉄板。
家事育児に忙しい主婦。子供が寝た後が唯一の自分の時間で、ついついお菓子を食べてくつろぐのが至福の時。
体内時計のリズムに合わない食事を続けると、体内時計が狂い、胃腸を始めさまざまな内臓に負担がかかります。
胃腸の消化・吸収力が弱まると、栄養素をうまく吸収できずビタミン不足になり吹きでものの原因になります。
先ほどのパターンAさんがこれに当てはまります。
残業で夕食が0時近くに。翌朝は食欲がわかず朝食をとらない。このような生活を続けると体内時計のリズムを崩すことにつながります。
朝起きたら朝日を浴びて朝食を食べることで体内時計をリセットする効果がある為、朝食も大切です。
ニキビや吹き出物の原因や対策について、美容クリニックの医師が詳しく解説した記事はこちら。
肝臓にも負担がかかることで、体内の毒素の分解が上手くできなくなり、栄養素が細胞に行き届かなくなり、肌荒れの原因になります。
肌荒れを気にせずお酒を楽しみたい方はこちらの記事もご参照ください。
寝ている間は体を休めるために内臓機能の動きは鈍くなります。そのため食べてすぐ寝ることで、消化吸収がうまくいかなくなります。
その結果、胃腸を完全に休ませられないため睡眠の質が下がり、成長ホルモンの分泌が不十分になり、肌荒れの原因になります。
上記のことを踏まえ食事はなるべく寝る3時間前までに済ませ、内臓の働きを高め、質の良い睡眠を手に入れましょう。
仕事や付き合いで、どうしても睡眠の3時間前までに食事を済ませること難しい日もありますよね。そんなときはせめて夕食の内容に気をつけましょう。
次の章では、肌荒れを起こさないための、食生活における食事の内容で意識していただきたいポイントを3つご紹介します。
脂質の多い食事は消化に時間がかかるため、胃腸を疲れさせ、睡眠の質を下げてしまいます。また、翌朝も空腹にならず、朝食を食べられない原因になり、体内時計も乱れてしまいます。
そこでまずは、揚げ物、炒め物を避け、ゆでる、蒸すなどの調理法を選びましょう。
また、バラ肉や、ウィンナー・ソーセージなどの加工肉は控え、ヒレ肉・もも肉を選びましょう。鶏肉は皮をとることでカロリーは約半分まで下がります。
成長ホルモンの合成にはタンパク質が必要です。
タンパク質は質の良いものをとることがポイント。肉、魚、大豆製品、乳製品が質の良いタンパク質です。
夜遅い食事では特に魚や大豆製品を中心に取ることで脂肪の摂りすぎも防止できます。
ミネラル・ビタミンが豊富な野菜は、栄養素の代謝を助け、また食べ過ぎを防ぐ効果もあります。
1食につき、サラダであれば両手に山盛り一杯、茹で野菜であれば片手に山盛り一杯分をとるように心がけましょう。キノコは冷凍して常備しておくと便利です。
乾燥わかめや乾燥野菜はインスタントスープに入れると手軽に摂取できます。
自炊や、スーパーでお惣菜を買うときなどは食べ物1つ1つを選ぶことができますが、外食の場合は1つ1つの食べ物を選ぶことはできませんよね。
そこで、肌荒れを起こさないためにどういったメニューを選べば良いのか。メニュー選びの方向性をお伝えします!
定食は野菜、タンパク質をバランスよく摂取しやすく、ご飯の食べ過ぎも防止できます。
ご飯は量が選択できる場合は小ライスを選びましょう。白米より雑穀米を選ぶと脂質や糖質の吸収が穏やかになり肥満防止につながります。
また、ラーメン、牛丼などの一品ものは避けましょう。
脂質や糖質の摂りすぎだけではなく、野菜不足にもつながります。やむを得ず一品もののお店を選ぶ場合は、サラダを追加しご飯は半分に減らすなどの工夫をしましょう。
自炊に比べて外食ではどうしても油の摂取が増えがちです。魚を選ぶことで脂質の過剰摂取を防ぎ、家では食べにくい魚も効率よく摂取できます。
魚の油は中性脂肪を下げる効果があり、最近ではうつ病予防や認知症予防にも効果的と言われます。中性脂肪やLDL-コレステロールが高くなることで血流が悪くなると、酸素や栄養素が体の隅々までいきわたらず、老廃物がたまる原因になり、肌荒れにもつながります。
魚の油には血管をサラサラにする力があるため肌荒れ対策にも効果的です。豆腐も魚同様、脂質の過剰摂取を防ぎ、コレステロール抑制効果も期待できます。
残業で帰宅が深夜になる際などは、ご飯屋さんもファミリーレストランやファーストフード店しか空いてないこともありますよね。そんなときに、つい頼ってしまいがちなのがコンビニエンスストア。
コンビニで販売されている一般的なお弁当はご飯もおかずも多くなりがちです。
成人女性では茶碗一杯150グラム程度が基準になりますが、お弁当には300グラムほどのご飯が含まれます。サイズの小さいお弁当を選ぶことで食べ過ぎを防止できます。
もの足りない場合にはサラダを追加することで、満足感がプラスされビタミンミネラル補給につながります。
最近では1人分ずつレトルトパウチされた調理済み食品が多く並んでいます。お弁当では多くなりがちな肉類もこちらを選ぶことで適正な量を摂取できます。
例えばおにぎり1つ、肉か魚のメインのおかずを1品、野菜のメニューを2品選べば、自炊が難しい方でも簡単にバランスを整えることができます。
コンビニ食で不足しがちな野菜を補うためにはカット野菜がオススメです。サラダパックを買うのも良いですが、毎日続けるにはコストがかかります。
カット野菜では1袋の量も多く価格も安いため続けやすいです。サラダにドレッシングをかけて食べるのもよし、電子レンジでチンしてカサを減らして食べるとより多く摂取できます。
夜遅くに小腹が空いてついつい間食してしまう。という方は、以下の方法を試してみましょう。
夜遅い食事や栄養バランスの偏った食事が続いた後は、自分の身体をいたわる時間をとりましょう。以下のような栄養素・食品を意識して摂ると美肌に効果的です。
栄養素 | 食品 |
ビタミンA・βカロテン | レバー、緑黄色野菜 |
ビタミンC | レバー、緑黄色野菜 |
ビタミンE | パプリカ、いちご、キウイフルーツ |
食物繊維 | ココア、きのこ、海藻、大豆製品、野菜 |
乳酸菌 | 納豆、キムチ、ヨーグルト、味噌 |
ビタミンB群 | 豚肉、玄米、納豆 |
また、肌のハリを支えることで有名なコラーゲンですが、食べ物で補うことも可能です。コラーゲンを食べ物で上手に補いたい方はこちらの記事をご参照ください。
食事だけでは栄養バランスを整えられないという方はサプリメントを服用する方法もありますね。そこでサプリメントを服用する際の注意点を紹介します。
ビタミンは水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分かれています。水溶性ビタミンは水に溶けやすく、余分な分は尿として排出されるため、摂りすぎても基本的には問題ありません。
一方で脂溶性ビタミンは尿として排出されないため、摂りすぎると体に弊害を及ぼす恐れがあります。具体的には下記のように分かれています。
水溶性ビタミン | 脂溶性ビタミン |
ビタミンB群・ビタミンC | ビタミンA・ビタミンD・ビタミンK・ビタミンE |
脂溶性ビタミンはもちろん、水溶性ビタミンも摂りすぎて排出されてしまっては意味がありませんので、必ずサプリメントの表示をよく読み、用法容量を守って摂取しましょう。
ここまで、肌荒れを起こしやすい食生活と、改善するための方法をお伝えしました。食べるものを急に変えるのは、食の好みや長年の習慣があるので容易なことではありません。
そこで、食生活を見直す際は、まずは冒頭にご紹介した食事の時間から見直しましょう。食事はなるべく寝る3時間前までに済ませ、内臓の働きを高め、質の良い睡眠を手に入れることが肌荒れ改善のスタートです。